大学スポーツ新聞記者が語る大学スポーツの魅力<Vol.1>


(左から)中大スポーツ・井上、スポーツ東洋・小賀坂、中大スポーツ・曽根田、12th Man編集局・永冨

(左から)中大スポーツ・井上、スポーツ東洋・小賀坂、中大スポーツ・曽根田、12th Man編集局・永冨

2016年はリオオリンピック・パラリンピックも開催されるなどスポーツが注目を浴びる年となっているが、同じスポーツでも大学スポーツはごく一部の種目を除いては脚光を浴びることはほとんどないのが現状だ。「大学スポーツは面白い」―。それを発信し続けているのが各大学にある大学スポーツ新聞部だ。彼らは自ら大学スポーツを現場で取材し、写真を撮影して、プロ顔負けのスポーツ新聞を独自で発行することで大学スポーツの魅力を伝え続けている。そこで今回はこれまで数多くの大学スポーツを取材し、スポーツ新聞発行に携わってきた大学スポーツ新聞記者のお三方にお集まりいただき、大学スポーツの魅力を語ってもらった。【取材・構成=永冨慎也(12th Man編集局)】

 

--まず、なぜ大学スポーツ新聞の記者になろうと思ったんですか?

曽根田智昭(以下、曽根田):

高校時代は実は美術部に所属していて、あまりスポーツに関わってきませんでした。中央大学に入ってたまたま大学スポーツ新聞を見て「とても面白いものを作っているな」と思ったんです。学生がスポーツ新聞を作っているということに衝撃を受けて、これを自分の手でも作れたら非常に面白いなと思い、ひとつやってみようかと思いました。正直、スポーツには興味はありませんでしたが(笑)。

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曽根田智明: 元中大スポーツ記者。担当競技は水泳、陸上競技、レスリング、ハンドボール、フェンシング。ペン記者、カメラマンのほか、新聞レイアウトをはじめとした編集部門で活動し2016年1月に引退。現在は、拓殖大学でのスポーツ紙創刊事業の補助役を務める。

 

小賀坂龍馬(以下、小賀坂):

私は曽根田君とは逆で、スポーツしか興味がなくて新聞自体には家に届く新聞をちょっと見るくらいでした。スポーツ全般、特に野球などを見るのが好きだったので、(スポーツ東洋に)入ればいろんなスポーツを見ることができるかな、感動できる場所に出くわせるかなと思って始めました。なので、記事を書くというのはまったくもって素人でした。最初は記事を書くのが嫌で嫌で・・・(笑)

井上健太(以下、井上):

私も、もともとスポーツが大好きで、小学校5年の時に親からスポーツを見るなら本でも読みなさいということで、サンケイスポーツを毎日家に届くように購読してくれました。そうすると毎朝スポーツ新聞を読むようになって、さらにスポーツが好きになっていきました。高校の時に友人の知り合いが大学スポーツ新聞で記者をやっていて「こういうのもあるよ」と紹介してくれました。その時に初めて大学スポーツ新聞の存在を知って、中央大学に入って「中大スポーツ」に入りました。スポーツが好きだけであれば見るだけで終わってしまいますが、何か形に残せるものを作りたいと思いましたね。

 

--皆さんは学生記者としてたくさんの大学スポーツをこれまで取材されてきましたが、大学スポーツの魅力って何でしょうか?

小賀坂:

まずは何といっても選手たちとの距離が近いということでしょうか。選手たちも同じ学生ですからね。ですから何かアットホームな感じがありますね。そんなところが試合の要所要所でも見られるのが、大学スポーツらしいところかなと思います。大学内でも選手たちが普通に食堂で飯を食ってたりするんで、そんなところも選手が身近に感じられますね。

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小賀坂龍馬: 東洋大学 元スポーツ東洋 記者。担当はアーチェリー、ラグビー、レスリング。プロ野球、オリックス:伊藤光、ヤクルト:秋吉亮、都市対抗社会人野球:日本生命、JR東日本東北、TDK、セガサミー、東都野球:拓殖大学、東洋大学。横浜市在住、大学4年生。

井上:

選手との距離が近いというところもあるんですが、全国大会やオリンピックに出られるんじゃないかという選手たちも記者として多く見てきましたが、そんな選手でも取材をしていろいろと話していると「普通の20歳だな」と思いますね。何度も取材をしていると次第に選手とも仲が良くなってきて「学校であの授業に出てませんか?」なんて聞かれたりもします。そして「助けてくれませんか?」なんてお願いされたりもします(笑)。音楽やファッションについても、あのごつい選手が意外とかわいい曲が好きなんだみたいなところまでわかったりしますよ。私生活の一部も垣間見ることができるので、なんだかんだで同じ学生なんだなと思いますね。

曽根田:

お二人の話から自由とか個性みたいな言葉がキーワードになってくるとは思うのですが、高校までは厳しい指導者がいてそれに選手は従うという感じがほとんどですが、大学では自主性を重んじる部分が多くなると思います。その自主性と言う部分から出てくる人間味というかカラーが出てくるところが大学スポーツの面白さなのかなと思います。それこそ、大学では全く練習しない選手は落ちていきますし、ある意味で大学は自由なのでその自由をどっちの方向に進めるのかは選手によって大きく分かれてきますね。頭を使って考えてやるタイプの頭脳派もいれば、とにかく練習をしまくって力を付ける肉体派みたいな選手もいます。高校よりも1年間長いので、この1年が結構大きくて挽回が効きます。4年生になって急に出てくる選手も多いなというのも取材していて感じるところです。取材を通じて選手たちの個性が垣間見えるのが大学スポーツも面白さであり、大学スポーツ新聞の魅力なのかもしれませんね。

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大学ラグビーの試合風景【スポーツ東洋提供】

井上:

中学3年と高校1年の時の力は結構大きな差があると思うのですが、高校3年と大学1年での力はそれほど大きな差はないと思います。なので大学1年からレギュラーとして試合に出場する選手も結構いますね。

小賀坂:

あとは、高校と大学の練習施設の差は大きいなと思いますね。また、トレーニングの量や質についても高校の時とは違う、何か大学スポーツ独自のものがあるように感じます。

 

--様々な大学スポーツをこれまで取材されてきたと思いますが、その中で最も印象的だった出来事みたいなものはありますか?

井上:

(スチール)カメラで一度やらかしたことがあるんですが、大学野球の取材で(東都大学)野球秋季リーグの最終戦を取材した時なんですが、(中央大が)優勝の可能性もあった大事な試合で、さらに負けたら4年生にとっては最後となる試合で写真撮影を担当していました。試合途中で天気が悪くなって、雨が降り出しましたが私はシャッタースピードなどを調整するのを忘れてしまい、そのままで写真を撮っていました。あとで写真を見ると雨で暗い中なのに設定を変えなかったので、暗い写真になってしまったことがありました。大事な場面でやらかしてしまいましたね。2年生の時だったので先輩記者に怒られました。

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井上健太: 元中大スポーツ記者。担当は硬式野球、陸上競技、卓球、射撃、航空。中学高校の6年間は卓球部。大学時代はスポーツ新聞の制作活動に没頭。横浜ベイスターズとFC東京のファンであり、好きな選手は山﨑康晃と梶山洋平。

曽根田:

私は取材の時にカメラを忘れたことがありました。大学スポーツ新聞部といえども、記者個人でカメラを持っている人は意外に少なくて、新聞部のカメラを回して使うことが多いのですが、部のカメラを割り振る時に部員同士での連絡がきちんとできていなくて、私がカメラを確保できない状態でレスリングの取材に行くことになり、大変困りました。しかし、現場に行くと他大学の記者がいて、何とカメラを貸してくれたんです。そのカメラを貸してくれたのがスポーツ東洋のここにいる小賀坂君だったんです。大学2年生の時でしたが、これが二人の出会いでした。スポーツの現場に行けば、このような他大学のスポーツ記者との出会いがありますね。カメラを忘れるとは記者としては論外ですが、仲間のネットワークに助けられたなと勉強になりました。

小賀坂:

大学1年生の時、東洋大の優勝に立ち会えた箱根駅伝ですね。大学スポーツ記者をやっていて最も印象的でした。私は戸塚中継所のところで取材をしていて、スタートとゴールの瞬間は見ることができませんでしたが、これまでテレビ中継でしか見たことがなかったことが、自分の目の前で行われているのを目の当たりにして感動でした。東洋大は優勝してもおかしくはないメンバーだったのですが、本当に優勝してくれて・・・とても印象的でしたね。

曾根田:

印象に残っている言葉というものもあって、新聞にもすでに書いていることになってしまいますが、レスリングの選手でこんな言葉を言っていました。「優勝しなかった選手には後悔しかないじゃないですか」。この選手は高校時代にインターハイでチャンピオンになって鳴り物入りで中央大に入学したのですが、大学4年間はケガに苦しんで結果を出すことができずに、最後の引退試合で言った言葉なんです。大学スポーツは結果がすべてではないと思うのですが、高校からずっと優勝してきた選手が大学では勝てなかった時の複雑な思いというのがこの言葉に込められているのかなと思いました。

小賀坂:

大学スポーツ新聞はこのように結果を残せなかった選手にも、そして全国的にも有名ではない選手にもフォーカスできる立場にあります。結果を残せなかった選手たちにもスポットライトを当て続けることができるのも大学スポーツ新聞の良さではないかなと思います。

Vol2へ続く>

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