大学スポーツ新聞記者が語る大学スポーツの魅力<Vol.2>


大学スポーツについて熱く語る(左から)井上健太(元中大スポーツ)、小賀坂龍馬(元スポーツ東洋)、曾根田智明(元中大スポーツ)

大学スポーツについて幅広く取材してきた大学4年生が大学スポーツを熱く語る(左から)井上健太(元中大スポーツ)、小賀坂龍馬(元スポーツ東洋)、曾根田智明(元中大スポーツ)

2016年はリオオリンピック・パラリンピックも開催されるなどスポーツが注目を浴びる年となっているが、同じスポーツでも大学スポーツはごく一部の種目を除いては脚光を浴びることはほとんどないのが現状だ。「大学スポーツは面白い」―。それを発信し続けているのが各大学にある大学スポーツ新聞部だ。彼らは自ら大学スポーツを現場で取材し、写真を撮影して、プロ顔負けのスポーツ新聞を独自で発行することで大学スポーツの魅力を伝え続けている。そこで今回はこれまで数多くの大学スポーツを取材し、スポーツ新聞発行に携わってきた大学スポーツ新聞記者のお三方にお集まりいただき、大学スポーツの魅力を語ってもらった。【取材・構成=永冨慎也(12th Man編集局)】

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――ひと夏を超えて、大学スポーツは秋のシーズンを迎えます。大学スポーツ新聞の記者の目から見て「このスポーツに注目してほしい」と思う大学スポーツは何でしょうか?

曽根田:

秋になってくるとどうしても「箱根駅伝」というものに注目が集まってしまいますが、特に10月以降は記録会などから注目されます。しかし、やっぱり秋のリーグ戦という戦いがあるスポーツは特に面白いと思うんです。これはあまり知名度の高くないスポーツに関しても同様だと思います。例えば、バスケットボールやハンドボール、ソフトボールなどは野球や陸上ほど注目されていませんが非常に面白いと思っています。やっぱり大学スポーツの醍醐味は「リーグ戦」ですよ。いろんな大学と戦っていって、春のリーグ戦では確立できなかった戦い方を秋のリーグでは確立して戦っていくような戦い方に注目したり、春のリーグ戦ではあまり目立たなかったルーキーたちが主力にドンドン組み込まれていったりして活躍することに面白味があると感じます。春のリーグと比べながら秋のリーグ戦を見るのが面白いのではないかと思います。

小賀坂:

私はやはり「駅伝」ですね。10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝、そして来年1月の箱根駅伝の学生3代駅伝です。各大学は夏の合宿を行うのですが、その合宿を乗り越えて駅伝シーズンに向かっていくその姿を見てほしいなと思います。そして、駅伝の前に行われる記録会なんかも是非見てほしいなと思いますね。ここで一気に良いタイムを出して駅伝メンバーに食い込んでくる選手が各大学に必ずいます。駅伝を見ていて「いきなり出てきたこの選手誰だ?」となるよりかは、記録会も見に行って「この選手は知っている」という状態にしていた方がより駅伝が楽しめます。5000㍍や10000㍍の記録会はぜひ見てほしいです。青田刈りではないですが「私はこの選手知っていますよ」と他の人よりも先回りできる感じがいいですね。そしてトラックを走るので選手たちを間近でじっくりと見ることも出来ます。また、箱根駅伝は20キロ以上走ることになるのでハーフマラソンなどの大会もこの秋に多くなってきて、選手たちは数多く参加します。このような駅伝以外の記録会やハーフマラソンなどの結果も踏まえながら、駅伝を見ればより楽しめるのではないでしょうか。

駅伝は大学スポーツの中では最も盛り上がる【写真:馬場遼提供】

駅伝は大学スポーツの中では最も盛り上がる【写真:馬場遼提供】

井上:

私は中学、高校と卓球をやっていました。卓球が大好きで、大学でも卓球に注目しています。リオ五輪で活躍した丹羽孝希選手は明治大の現役の学生アスリートでもありますし、また吉村真晴選手(名古屋ダイハツ)は今年3月までは愛知工業大学の学生アスリートでした。実はこの丹羽選手は大学では通算で負け越しているんですよ!大学のリーグ戦は独特な雰囲気がありまして、個人戦では淡々と戦うことができるわけですが、学生のリーグ戦となるとベンチの後ろに学生が10人くらいはいて、得点が入るたびに彼らがワーッと騒ぐわけです。彼らの応援がすごいんです。この雰囲気が丹羽選手はどうも苦手のようで、それが原因でリオ五輪団体で銀メダルを取った丹羽選手が大学リーグ戦では負け越しているんです。また、吉村選手はリオ五輪の日本代表ですが、学生時代は負け越しこそしていませんが一度も学生のタイトルを取ったことがありません。丹羽選手も吉村選手もリオ五輪に出場してるからってずば抜けて強いというわけではなく、オリンピックに出ていない学生アスリートに負けているんです。そう考えると、オリンピック出場も紙一重なのかなと思いますね。このことは大学スポーツを見ていないとわからないことなのではないでしょうか。オリンピックにはない独特な雰囲気が大学スポーツにはありますね。ただ、明治大OBの水谷選手だけは別格だったようですが(笑)。

小賀坂:

大学スポーツには独特な雰囲気が確かにありますね。私はアーチェリーを担当していましたが、アーチェリーってシーンとした中で試合が行われると思っていましたが、大学スポーツでは応援がうるさいんです(笑)。弓を放つ瞬間ですら応援の声がやまないのです。この応援が嫌で耳栓をしてプレーする選手もいるほどです。この状況で選手は集中しなければならないのですが、この雰囲気はやっぱり大学スポーツ独特のものではないかと思います。

曽根田:

応援と言うのは大学スポーツ独特のものだと思います。百聞は一見に如かずでぜひ大学スポーツに足を運んでもらえたらと思います。

 

――大学スポーツ新聞が果たすべき役割、使命とは何だと思いますか?

井上:

大学スポーツ新聞のあるべき姿は人気とか知名度に関係なく、しっかりとそのスポーツを伝えることかなと思います。駅伝や野球、ラグビーやバレーボールなどは人気があって、大学スポーツ新聞記者になりたい人たちはこれらのスポーツを目的に大学スポーツ新聞部の門をたたく人が多いのですが、実際、いろんなスポーツを取材していくとこれまで興味のあまりなかったスポーツも理解できるように、面白さがわかってきたりして、有名ではないけど頑張っている選手たちを目の当たりにしていきます。「このスポーツにはこういう選手がいますよ」ということを伝えたり、ルールも含めてそのスポーツ自体の面白さも伝えていかなくてはならないなと思っています。大学スポーツだから一つの大学に様々なスポーツ競技、クラブがありますので、だからこそいろんなスポーツの醍醐味を伝えていきたいです。

大学スポーツ取材には欠かせない取材道具一式【中大スポーツ提供】

大学スポーツ取材には欠かせない取材道具一式【中大スポーツ提供】

小賀坂:

自分たちがスポーツ新聞を出すと、選手たちも結構見てくれていたりしています。選手たちは「新聞に取り上げられること」が一つのモチベーションにつながっているようです。こういう部分にも大学スポーツ新聞は寄与しているかなと思います。試合会場に取材で行くと、「この前の新聞良かったですよ」と選手たちとの会話から出てきたりもします。自分としてはこう言われるとうれしいですよ。「今度は私を一面にお願いします」なんかも言われたりしますが、このように選手たちのモチベーション向上にも大学スポーツ新聞は一役をかっているのかなと感じます。また、大学OBの方々は土日に試合に見に来てくれていますが、どうしても平日は見ることができなかったりもするので、大学スポーツ新聞があるとOBの方々にも喜んでいただいています。

曽根田:

大学スポーツ新聞の使命というところで言えば、私たち大学スポーツ新聞記者が取材をして報道しなければ、世に出ることはないことを伝えていくことは非常に重要なことだと思うんです。箱根駅伝や東京六大学野球、東都大学野球などについては私たちが報道しなくても、他のマスコミが報道もしているのである程度情報としては世の中にあるとは思うのですが、その中で私たち大学スポーツ新聞が出していくべきことは何なのか?ということを常に考えながら報道していくことが大事です。マイナースポーツであれば、おそらく私たちが結果を新聞やネット上で報道しなければ、誰も結果を知ることができないということになりますので、その点は大学スポーツ新聞の果たすべき役割なのかなと思います。もう一つは、リオ五輪でも結構言われていましたが、「アスリートファースト」でやっていくということです。私たち大学スポーツ新聞は主人公である学生アスリートを報道していくという立場を忘れずに取材をしていくということを肝に銘じています。学生アスリートの力に少しでもなればいいと思います。

<了>

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