多田修平にとっての世界陸上


「勢い」を「本物」に

ゴールデングランプリ川崎で100㍍を走り笑顔の多田

日本時間の5日(土)、朝の4時20分に世界陸上男子100㍍が始まる。きょうはその直前企画? として、今シーズン現れた短距離界のプリンスについて書きたいと思う。

関西学院大学3年、多田修平。6月10日の日本学生個人選手権で追い風参考ながら日本人国内初の9秒台(9秒94)をマークすると、同月24日の日本選手権では自身初の決勝進出で2位となった。鋭い出足と甘いルックスで? 一気にスターダムを駆け上がった…、なんてことは周知の事実だろう。

私は関学スポーツで、彼が1年生の時から取材してきた。2年前の関西インカレで1年生ながらいきなり優勝した時は「イキのいいのが出てきたな」くらいにしか思っていなかった。それが去年の春には「リオ五輪狙ってます」と宣言。自然と、見出しには「五輪」を使うようになっていた。

そんな私が、多田にとって今回の世界陸上がどういう位置づけか、勝手に推測する。多田がどういう人か、なぜ強くなったかなどは、ぜひ、他メディアを見てほしい。

この世界陸上は多田にとって、日本のファンや陸上関係者など周囲からの「真の信頼」を勝ち得る大会となるのではないか。もちろん、今回の代表入りは標準記録突破と日本選手権で2位となったから。リオ五輪代表のいわゆる「3強」も撃破した。それでも、だ。「JAPAN」を初めて背負う21歳の、信頼度はどれほどなものか。多田が書かれた記事には批判的なものは少ないが、「やっぱり勢いだけだったのか…」という結果にはしたくない。

多田自身は明確な目標を口にしている。「準決勝進出」。今、当たり前のように9秒台を期待され、リレーでは表彰台に上がる。そんな日本短距離界だから、世界の舞台で準決勝進出は至上命題になりつつあるのではないか。

それでも、その壁はなお高い。リオ五輪ではケンブリッジが10秒13で組2着、山縣も10秒20でおなじく組2着となり準決勝進出。一方、桐生は10秒23で予選敗退に終わっている。組にもよるが、準決勝進出には、コンスタントに10秒1台前半を走る力が求められると言っていい。

勝負の分かれ目は、多田が国際舞台で力を出し切れるかどうか。関西学院大学の練習場で調整し、大阪・長居競技場で走った日本選手権とはわけが違うだろう。今季10秒0台を1度、同1台は2度記録。力を出し切れば、掲げている目標は成し遂げられる。

今大会で再び「やっぱり多田って本物だ」という走りを見せることができれば…。2020年東京五輪、そしてその先も、日本の短距離界を引っ張っていくことができる、確固たる信頼を築くことができるのではないか。(中野椋)

コメントを残す