出雲から全日本へ2強の行方は?


9日に行われた第29回出雲駅伝は東海大が10年ぶり4度目の優勝、3連覇を狙った青学大は2位に終わった。戦前から東海大と青学大の2強対決と言われていたが、東海大が4つの区間賞、青学大に対して1分33秒の差をつけた。

勝負はほぼ1区で決したと見ていい。東海大の1区を任された阪口竜平(2年)の強さが想像以上だった。脱水症状に陥る選手が続出した悪コンディションの中で自分でレースを作って区間賞を獲得したのは力のある証拠だ。阪口にあそこまで走られてしまえば青学大の梶谷瑠哉(3年)が最後にフラフラになったとはいえ38秒差をつけられたのは致し方ないだろう。梶谷は箱根の1区で結果を出したが、その時はスローペースだった。サバイバルレースになった時にどうなるかという疑問はあったが、その予感が悪い方に出てしまった。青学大は2区の田村和希(4年)と3区の下田裕太(4年)で追い上げてトップを奪ったが、ここで東海大に対して5秒差しかつけられなかった時点で勝負はついていた。青学大が2大エースを使い切ったのに対して東海大は鬼塚翔太(2年)と關颯人(2年)とチームの柱を残していたからだ。東海大は4区に鬼塚を投入し、5秒あった青学大との差を詰めて1㎞過ぎに追いついた。青学はこの区間にチームでも屈指のスピードを持つ小野田勇次(3年)が起用されたが、鬼塚相手では苦しかった。中間点を過ぎてからじわじわと差を広げられ、中継所までに14秒差をつけられた。5区でも東海大と青学大の差が開き、6区に襷が渡った時点では37秒差となっていた。アンカーの力量を考えれば青学大はリードした状態でアンカーに襷を渡したかった。しかし、4区鬼塚というカードを切ってきた東海大に屈した形となった。リードを許した状態では關に対抗することはできず青学大は3連覇を逃すという結果になった。

レースを総括すると東海大が青学大を力でねじ伏せたという印象だった。黄金世代と言われる2年生が順調に成長を遂げた東海大に対して青学大は2年連続でアンカーを務めた一色恭志(現・GMO)の穴を埋めることができなかった。一色のような選手はそう簡単に出てこないが、彼のような選手が出てくることが青学大復権の鍵となるだろう。原晋監督は紛れもない名将であるが、昨年までは選手の力によるところが大きかったのも否定できない。東海大の黄金時代が確実視される今後の大学駅伝で勝ち抜くことができれば原監督の評価はさらに高まるだろう。一方の東海大はここから大学駅伝史上最強チームを作ることが至上命題になる。この出雲での勝利を機に9連勝しても不思議ではない。このまま着実に最強チームへの道を突き進めるか。

全日本は区間が6区間から8区間に増え、距離も長くなることから青学大が有利という見方が多いが、全日本に限って言えばまだ東海大の方が力はありそうだ。今回の出雲を走った東海大の2年生は短い距離に強いイメージが強いが、彼らは10㎞でタフなコースの全国高校駅伝の1区で上位を独占した選手たちであり、全日本の距離はお手の物だ。今回のメンバーに選ばれなかった選手でも出雲記録会で塩澤稀夕(1年)、川端千都(4年)、國行麗生(4年)が好成績を残しており、選手層は厚い。懸念材料は19.7㎞ある8区の人選だ。出雲同様に關、あるいは長距離に強い松尾淳之介(2年)、4年生の川端などの起用が考えられる。8区で区間上位の走りができれば2冠が近づいてくる。

全日本では4年生の川端の出番はあるだろうか

青学大は田村と下田のWエースが強力だ。田村は昨年同様に2区、下田は8区での登場が有力視される。全日本連覇に向けては1区の人選が重要になるだろう。昨年は下田が区間8位で出雲も梶谷が苦しんだ。ここを乗り切ることができれば田村と下田で貯金が見込めるだけに何とかしたいところだ。起用の可能性がありそうなのは出雲でアンカーを任された橋詰彗星(3年)か。阪口か鬼塚の起用が見込まれる東海大に対して10秒以内で凌ぎたい。中盤区間には主将の吉永竜聖(4年)、先日の学内記録会でトップだった中村祐紀(4年)、前回MVPの森田歩希(3年)といった上級生が起用される可能性が高い。自分たちの走りができれば連覇はおのずと見えてくる。

青学大は前回の全日本MVPの森田を残している

東海大と青学大の2強の様相を呈してきた今年の駅伝シーズン。2強の第2ラウンドはどんな結末を迎えるだろうか。

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