西野監督は僕たちに大切なことを教えてくれた


サッカーW杯の日本対ポーランド。日本は0-1で敗れたが、セネガルとのフェアプレーの差で辛くも決勝トーナメント進出を決めた。直前の監督交代や強化試合の成績から予選リーグ突破はかなり厳しいと見られていた中でこの結果はいい意味で大方の予想を裏切ったと言えるだろう。

しかし、最後の10分を負けているにも関わらず、攻めの姿勢を見せなかったことから批判の声が上がった。確かにスポーツにおいてわざと負けるという行為は批判されるべきかもしれない。ただ、予選リーグ突破という戦いに“勝つ”ために西野朗監督が下した判断が無理せず0-1で試合を終えることだったのだ。

日本が1点ビハインドの状況で残り時間が少なくなった時点で、このままでは追いつくことが難しいのは誰もがわかっていたことだと思う。その中で日本は失点のリスクを承知の上で大胆に攻めるか、コロンビアが失点しないことを信じてこのままゲームを終えるかの選択を迫られていた。

現実的に考えて90分間で1点や2点しか入らないスポーツで後者を選ぶのは非常に理に適っている。もちろん、セネガルが得点して日本が敗退してしまえば、西野監督や日本代表への批判は免れなかった。しかし、西野監督はそれも覚悟であの選択をしたのだろう。結果的に日本代表はギャンブルに勝ち、決勝トーナメントに進むことができた。

私はサッカーはにわか程度の知識しかないが、この試合は今までサッカーを見てきて一番面白い試合だった。何より西野監督から人生において大切なことを教えてくれたと思う。

まず、手段よりも目的が大切だということだ。日本代表にとって予選グループ突破は大きな目的だった。勝ち点やゴールを奪うことはその目的を達成するための手段でしかない。最後に日本がゴールを狙いに行かなかったことに対する批判もあったが、手段のために目的を達成できなかったら元も子もない。その意味では最後まで目的を見失わなかった日本代表に賛辞を送りたいと思う。

そして何より私が西野監督から教わったことは、重要な局面では時にギャンブルをしないといけないということだ。人生において進学、就職、結婚など重要な決断を迫られることが幾度となくある。例えば就職先を選ぶのもギャンブルだ。業績が安定している大企業だと思っていても今のご時世では数年後に経営破たんしたっておかしくない。将来がどうなるかわからないのに身を委ねる先を決めるなんてギャンブルもいいところだ。

かくいう私も収入が不安定な仕事をしているが、その選択をするのもギャンブルだったと自覚はしている。スポーツライターになると決めた時に生活していける保証はなかったが、それも承知でこの世界に飛び込んだ。しかし、1年半前にそのギャンブルをしていなければ今の自分はない。その意味では1年半前の自分にありがとうと言いたいし、あの決断は正しかったと証明するためにもこれからより一層頑張らなくてはいけないと思っている。

西野監督をはじめとする日本代表は私たちに勇気を与えてくれた。そういうものに私もなりたい。

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