魂の格闘技・ビリヤード


12th manの皆さま、はじめまして。

 

スポーツに国境はありませんが、地域によって『メジャー』か『マイナー』かの差は存在しています。

今日はそんな数あるスポーツの中から、世界中で親しまれテレビ中継までされていながら、日本ではマイナー的立ち位置にある競技を紹介させていただきます。

 

ビリヤード。

大人から子供まで気軽に楽しむことができるレジャーであり、国際的な競技大会も開催されている、歴史ある球技の1つです。

そして我々スポーツウォッチャーにとって重要なポイントとなる『国際舞台で日本勢が戦えるか?』という課題もクリアしています。

 

2011年に日本人選手が『ナインボール世界選手権』(カタールのドーハで開催)優勝しました。

実は同種目では奥村健(1994年)、高橋邦彦(1998年)に次ぐ3人目の世界チャンピオンです。

この3人目の世界王者は大阪府出身の当時36歳だった赤狩山幸男(あかがりやま・ゆきお)というプロプレイヤーでした。

同年にテンボールの世界選手権でも3位入賞を果たしていた彼は、その戦績を駆って世界ランキング1位もマークしました。

そして東日本大震災が起きたこの年、彼は獲得賞金の全額を寄付することを表明し、その約束を果たしています。

河原千尋

2014年に台湾で開催された国際試合でベスト8入りを果たした河原千尋

 

またアジア競技大会でビリヤードが正式種目だった2006年、同じくドーハで開催された同大会において、エイトボールで日本の川端聡が、スリークッションでは梅田竜二が金メダルを獲得し、その功績を讃えられ『文部科学大臣表彰』を受けています。

さらに2年に1度開催されている『世界国別チーム対抗戦』では、つい先日行われた2014年大会で日本チームは3位入賞、その前回大会(2012年)には準優勝という好成績を収めました。

このように、紛れもなく日本は世界の強豪国の一角を担うポジションを確立しています。

 

ビリヤードの歴史はヨーロッパに起源を持ち、今も強豪選手を多く輩出しています。そしてアメリカもまた、プール(ポケットビリヤードの別称)大国として知られる存在です。

一方、日本を含むアジアもまた世界中から注目を集める存在で、特に男子は台湾とフィリピンを世界の2強と認める声もあるほどです。

また女子に限って言えば、台湾と中国が近年の世界チャンピオンの多くを占め、ここにフィリピンと韓国を加えると、欧米を圧倒するほどの力をつけています。実際、2013年にフィリピンで開催されたアジアvs欧米の対抗戦(QUEENS CUP)では、この4ヶ国から各1名の代表を選抜したアジアチームが圧勝を収めています。この代表枠が5名になったとしたら、おそらく日本から1名が選ばれていたことでしょう。そんな位置付けにあります。

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2013年の全日本選手権(国際オープン)で自身4度目大会最多勝をマークした梶谷景美

ちなみに現在の日本国内女子の勢力図を簡単に記しますと、昨年、3度目となる日本一の座に就いた河原千尋、昨年は2位に終わるも過去10年の平均ランキングが1.7位という不動の女王・梶谷景美が2枚看板という状況でした。

しかし、今シーズンに産休から本格復帰を果たした栗林美幸が今年既に5戦2勝という活躍を遂げて、日本女子3枚看板の時代へ突入しようとしています。

他にも世界でその名を知らしめる”エレガント・クイーン”曽根恭子、”舞妓戦士”夕川景子、”コメディ・メガネ”野内麻聖美といった個性と実力を備えた選手が世界挑戦を続けていて、1974年14-1世界選手権優勝の原田美恵子以来となる世界チャンピオン誕生に秒読みの段階でもあります。

栗林美幸

2014年開幕戦を飾った栗林美幸

ビリヤードは身体的能力が占めるウェイトが低く、競うのはパワーやスピードでなくプライド、という点が他のスポーツと異なる最大の特徴です。

私の友人でスポーツライター(現在は小説家)の浅沢英氏も、長年携わってきたボクシングの世界からいったん距離を置き、ライターから作家へ転向するにあたって「ビリヤードの奥深さを描いていきたい」と、魂の格闘技に惹かれたことを常々口にしている程です。(彼の近著『浪速のロッキーを捨てた男 角川書店単行本』もぜひよろしくお願いします)

 

このように、スポーツとして歴史もあり、国際大会も開催されていながら、世界の中で日本だけがテレビ中継をしていない『世界のメジャー、日本のマイナー』スポーツであるビリヤード。

しかも日本人選手が世界の頂点に立ち得る数少ない『強国ニッポン』の競技です。まずは3枚看板として日の丸を背負っている3人の美戦士を覚えていただければ幸いです。

今後も日本のビリヤード事情をお届けしてまいります。スポーツを愛して止まない皆さまの頭の隅っこにでも置いていただければ幸せです。

そして同志(ビリヤード界の12thMAN)と出会えることを楽しみにしています。

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