ハンドボール部・全日本学生ハンドボール選手権大会1回戦 対福岡大


11月10日 丸善インテックアリーナ大阪

最高の敗戦 『真摯な姿勢』置き土産に4年生は引退へ

 

早すぎるインカレの終わりに、森田啓仁(法4)はコートの床に何度も拳を叩き付けた。この日の最終試合。熱戦の余韻が残る体育館に、その音が虚しく響く。延長戦にまでもつれたインカレ1回戦は、西日本王者福岡大との対戦。格上相手にすべてを出し切り、一歩も引かずやり合った。だからこそ、わずか1点差で逃した2回戦への切符に悔しさは募る。試合後「残念でしたね」と言った指揮官は、こう続けた。「でも、すごくいいゲームでした」。

▲リードを広げ喜ぶベンチの選手たち

試合は序盤から、1点を争うシーソーゲームが展開される。先制を許すも、佐野利器主将(法4)のゴールですぐさま同点。5分が過ぎると試合はこう着状態に。中大の得点も止まりがちになるが、今度はGK山﨑智之(総4)のスーパーセーブがさく裂した。ノーマークシュートや、相手の狙いすましたスカイプレーでさえもはじき出す。リーグ戦では大きく喜びや悔しさを出さなかった控えめな守護神の、「よっしゃ!」という派手なガッツポーズが何度も見られた。秋リーグ2戦目に負ったけがから復帰戦のエース北詰明未(商4)は「個人としては全然だめでした」と本調子とは遠く、序盤は精彩を欠く。その分を、コートに立つ他の4年生が補完した。佐野主将は「鼻の骨が折れていたので」とフェイスガードを着用し出場。それでも前半10得点中半分の5ゴールと、大車輪の活躍を見せた。10-10の同点で前半は終了。互いに守り合い、ロースコアの前半30分となった。

▲佐野主将のシュート。フェイスガードが痛々しい

後半は一転、点の取り合いに。開始早々、佐野主将の速攻でリードを奪うも、2分台には逆転を許した。中大がゴールを決めても、素早いリスタートで守備を整える前にゴールを割られる苦しい時間帯を乗り切り、8分には名冨光輝(商3)のゴールで再び逆転に成功する。その後1点差での展開が続いたが、13分ついにリードを2点に。このままリードを広げたいところだったが、福岡大もそう簡単にはさせてくれない。「シーソーゲームの中で、自分たちの流れをキープできるか」(佐野主将)がポイントだった中で、ミスが出て、攻守の要、北詰も2分間退場となる。10分間で一気に3点ビハインドまで点差が広がった。連続ゴールで1点差とするも、7人攻撃を試みたところでミス。GKをベンチに下げて無人のゴールに、ボールが弧を描いて吸い込まれる。残り時間はわずか3分。万事休すかと思われたが、選手も、ベンチも、誰一人として勝利を諦めなかった。森田がリスタートのため猛然と自陣のゴールへボールを拾いに走り、北詰、寺島健太(総2)の得点で1点差。試合を決めたい相手のタイムアウト後、シュートを山﨑が止めると、背番号2が駆けだした。「絶対に決めてやる」(北詰)。何人もの相手ディフェンスを振り切り、独走での劇的同点弾は残り3秒で生まれた。ベンチもスタンドも総立ち。相手のノータイムスローも壁がはじき返し、激闘は60分では決着つかず。大歓声の中、延長戦に突入した。

▲北詰の劇的同点弾の瞬間。ボールの行方に誰もが注目した

延長戦では、森田のサイドシュートが火を吹いた。いつも様々なゴールパフォーマンスでチームを盛り上げるムードメーカーは、大きくガッツポーズしスタンドを煽る。この大一番で、回転をかけバウンドするボールを曲げる、高度なサイドシュートも決めた。また、チーム随一の運動量も遺憾なく発揮。速攻時には弾かれたように飛び出した。どちらも譲らぬ激戦に終止符が打たれたのは、ラスト5秒。幕切れもまた劇的に。相手のシュートがゴール左スミに決まると、中大セブンは天を仰いだ。残り数秒で反撃する余力はもう残っていなかった。

▲スタンドの応援に向かってガッツポーズをする森田

「応援も含め、チーム全員で戦っていると実感できた。悔いはない」(佐野主将)。チームスタッフ、応援、ベンチ、そしてコートに立つプレーヤー全員が各々の役割をまっとうし、互角以上に渡り合った。そのチームを率いた4年生は、「チームに真摯にハンドボールと向き合う姿勢を残してくれた」と実方監督は言う。日本代表の部井久アダム勇樹(法1)にさえ「ストイック」と言わしめる北詰をはじめ、多くの4年生が下級生に背中を見せてきた1年間。「いいチームになるも悪いチームになるもキャプテンの影響は大きい。人生で一番頑張った」と、佐野主将は振り返った。我が強く、けんかも多かったという4年生。彼らをつなげ、支えている土台は、ハンドボールへの情熱だった。その魂は、次の世代へ。「今年を超えるチームになってほしい」(佐野主将)。届かなかった1点を埋めるための戦いが、これから始まる。

▲試合前の円陣。激闘はここから始まった。

 

◆試合結果◆

中大32(10-10、17-17、2-3、3-3)33福岡大〇

 

記事・写真:「中大スポーツ」新聞部

コメントを残す