Cを背負う者番外編・ハンドボール部③


森田啓仁(法4)

走り抜けた4年間

 

インカレ一回戦、GKを下げた7人攻撃でミスを犯し、無人のゴールへボールが吸い込まれる。--もうだめか。チームの足も止まりそうな中、森田はリスタートのため自陣ゴールへ走った。ゴールから遠い位置にいたからこそ、チームに伝播した確固たる意思表示。「絶対にあきらめない」。試合後誰よりも悔しがった背番号20は、それでいて「ものすごく楽しい試合」だったと振り返る。

▲秋リーグ最終戦にて。好きな言葉は「積小致大」だそう

基本的な印象は、明るく朗らかなムードメーカー。ゴール後には「U.S.A」のダンスなど、多彩なパフォーマンスの『持ちネタ』が。しかしサイドシュートの助走に入った途端、表情ががらりと変わる。そのプレースタイルは非常に緻密で繊細だ。「シュートのコントロールはいつも自主練してます」。角度のない左サイドから助走をつけ、「まずは高く跳ぶこと。最初に狙うのは流し下」。GKとの駆け引きがものを言うサイドプレーヤーの世界で、存在感を示していた。

▲昨年度秋リーグ国士大戦。速攻で走り込む

森田の武器はそれだけではない。高校時代は沖縄の名門、興南高で全国大会三冠。3-3ディフェンスを敷くチームで、運動量の求められるトップを守った。そのスタミナやスピードは中大入学後も健在で、速攻時には誰よりも早く走り出し、ボールを失えばダッシュで帰陣する。「大学では計っていないけど、体育館だと50メートル6秒ぐらい」という快足を飛ばす姿は傍から見ていても爽快だった。

▲昨年度秋リーグ法大戦。ゴール後『持ちネタ』の一つを披露

人生の三分の二を競技に捧げてきた。小学校時代に担任の先生に誘われ始めたというハンドボール。「先生がいるから」で始まった競技人生は、高校時代に頂点を極め、越境した大学では副将となり主将とチームメイトの仲介に心を割いた。スタメンで迎えた初のインカレだった昨年度は、緊張からか得意のシュートが枠を外しわずか2得点。リベンジに燃えた今年度もプレッシャーは否応なくのしかかったが、「仲間が声を掛けてくれていつもの調子が出せた」。世代別の日本代表GK相手に堂々の8得点。雪辱の大舞台で、最前線を駆け抜けた。試合終了のブザーに悔しがる姿は、敗戦の悔しさよりも仲間、そして競技への惜別の色が濃い。すべてを懸けた戦いは終わった。それでも、チームは次の世代へ引き継がれ、森田の人生も続いていく。「OBになってもずっと応援していきます」。後輩へ残したのは感謝とエール。そしてコートを出た先に広がる未来へ、胸を張って一歩踏み出した。

▲雪辱のインカレで圧巻のサイドシュート決定率。14年間のハンドボール人生で「一番楽しめた試合」だと言う

 

▼森田啓仁プロフィール

もりた・あきひと 平成9年2月9日生 沖縄県出身 興南高卒 172㌢ 利き手・右

 

※一昨年度度7月号から本紙にて開始した連載「Cを背負う者」。Web版でも中大を担う選手を紹介していきます。

 

記事・写真:「中大スポーツ」新聞部

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