錦織 4大大会制覇への道


日本のテニス界を牽引し、またその歴史を次々と塗り替えてきた錦織圭。17歳でプロに転向してからもう10年以上が経つが、そんな錦織にもまだ手の届いていないタイトルがあるのだ。

四大大会の制覇―それこそが錦織の描いてきた夢、いや今は夢というよりも、限りなくそのゴールに近づいてきている。しかし、なかなかあと1歩が届いていないのが現状だ。

通称グランドスラムと言われている4大大会は全豪・全仏・ウィンブルドン・全米の4つの大会のことで、テニスプATPのポイントも2000点と群を抜く、プロテニスプレイヤーが最も重要視する大会であるといえる。ここでの優勝はプレイヤーのキャリアの中でも大きな意味を持ち、その後のテニス人生において自信を持ち続けるきっかけにもなる。なぜなら、4大大会を優勝するには他のATPツアーの試合とは異なり、5セットマッチ3セット先取、そして7回の勝利を重ねなければならない。当然優勝をつかむには厳しい相手と対峙しなければならず、準決勝、決勝となればなおさらだ。

先には「あと1歩優勝に届いていないのが現状だ」と述べたが、錦織は4大大会でも好成績を残し続けている。全ての大会でベスト8以上という、日本人男子初の記録を樹立し、中でも最も得意とする全米オープンはベスト4以上に3回進出した。2018年シーズンは苦手としていたグラスコート(芝コート)のウィンブルドンでも自身初のベスト8に進出。手首のけがからの進化を印象付けた大会でもあった。

中でも最も錦織が優勝に近づいたのは、2014年の全米オープンである。錦織はこの時、大会前に右足親指の手術を施した後に試合に臨んでいたのだが、1回戦を突破し、そこから怒涛の快進撃を見せた。4回戦ではミロシュ・ラオニッチ、準々決勝ではスタン・ワウリンカの両者にフルセットの激戦の末勝利をつかみ、日本人男子として96年ぶりに準決勝に進出。準決勝では、当時そして現在も世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦。誰もが錦織の敗北を予想したが、セットカウント3-1で錦織が勝利を収めた。アジア人初の4大大会決勝進出で、この歴史的な瞬間はテニスファンなら忘れられない光景かもしれない。この後の決勝は錦織の硬さもあり、対戦相手のマリン・チリッチ(クロアチア)に自分のテニスをさせてもらえず、ストレートで敗戦。当時は対戦成績上5勝2敗と勝ち越していただけに、最大のチャンスを逃したが、日本中、いや世界中が錦織の大健闘をたたえたのだ。

だが、錦織はその後、4大大会の決勝に進むことはできていない。男子テニスの層はとても厚く、安定した結果を残し続けている世界ランキング上位の選手はもちろん、最近では錦織よりも下の世代に当たる「NEXT GENERATION」の若いプレーヤーの台頭もあり、錦織を取り巻く環境は厳しさを増すばかりである。現在錦織は28歳で、今月末には29歳を迎え、テニスプレーヤーとしては決して若くない年齢であり、体力や持ち味であるフットワークの衰えは懸念される点であることは間違いない。しかし、そういった壁を乗り越えなければグランドスラム制覇は成し遂げられないだろう。今年の成績を見れば、錦織にかかる期待は大きくなる。4大大会を制覇する日はそう遠くないとファンも信じているはずだ。

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