錦織 全豪で見えた課題


27日まで開催された全豪オープンは、男子はN・ジョコビッチ(セルビア)、女子は大坂なおみ(日本)の優勝に終わり、幕を閉じた。今回の全豪は、とりわけ男子では上位シード勢が続々と敗れる波乱もあり、非常に荒れた大会になったとも言える。

そんな中、日本の錦織圭はそのような波乱の中、ベスト8という好成績を収めた。だが、N・ジョコビッチとの準々決勝では無念の棄権に終わり、本人も「ベスト8の壁を破れなかったのは悔いが残る」とどこか不満足気だった。それもそのはず、錦織はグランドスラムの優勝を目標に掲げているものの、2014年の全米オープン以来、4大大会では決勝進出を果たすことができていない。今年の全豪オープンも優勝を果たすことができなかったのは、主に2つの原因があると考えている。

まず1つ目に、錦織のプレースタイルが挙げられる。錦織圭といえば、世界屈指の技術を誇る、いわゆる「ショットメーカー」であり、フットワークでも無類の速さを持ったプレーヤーである。その長所を生かしたラリー力は群を抜いており、「錦織とはラリーをしたくない」という姿勢を取るようなプレーヤーも大勢いるのだ。だが、錦織は178cmとトッププレーヤーの中では低身長で、体格も比較的華奢なため、どうしてもサーブの威力が弱くなってしまう。そのことから、サーブのフリーポイントが少なくなり、ラリーでの試合運びを試みることが多くなるのだが、当然ラリーを続ければ体力の消耗も激しくなる。フィジカルの問題とサーブの問題は彼を悩ませる1つの理由にもなっているかもしれない。

2つ目に、錦織にはまだ「圧倒的な強さ」がないことが原因ではないかと推測される。今回の全豪オープンでは、すでに1回戦から2時間48分、2回戦では3時間48分、3回戦は2時間6分と短めではあったものの、4回戦は5時間5分の死闘を演じ、準々決勝まででも13時間47分もの長い時間をコート上で戦っていたのだ。そしてそのうちフルセットマッチが3回戦以外の3つで、錦織は明らかに苦戦を強いられていたのだ。対照的に、決勝に進出したR・ナダル(スペイン)は決勝こそ完敗だったものの、それまでは1つもセットを落としていなかった。優勝したジョコビッチも決勝まで1セットしか落としておらず、錦織との差は歴然としている。つまり、この2人の選手は他を寄せ付けない「圧倒的な強さ」があると言えるだろう。錦織はベスト8という好成績を残したが、それまでの試合の疲労の蓄積もあり、棄権という結果に終わってしまった。錦織は「強い」が、まだ「圧倒的な強さ」はない・・・そこがジョコビッチやナダルとの違いではないだろうか。

ただ、まだシーズン序盤ということを考えても棄権という判断は明らかに正しい判断だと考えている。錦織は一昨年に右手首のケガで戦線を離れ、昨年には見事なカムバックを果たした。そのことを考えれば、別の箇所のケガを悪化させて再び戦線離脱となるよりはいいのだろう。全豪4回戦では、5時間の死闘の末に大逆転勝利を収め、再び日本に感動を与えてくれた錦織。錦織にかかる期待はとどまることを知らず、グランドスラムの制覇もそう遠くないであろう。

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